Column
お久しぶりです。スイコウ倉庫です。
今回は「杭」についてお話していこうと思います。
いきなりですが、皆様は「杭」と言われたらどんなものを想像しますか?
こちらでしょうか?
こちらでしょうか?
…どちらも杭ですよね。杭と検索すれば出てくるものです。
しかし今回紹介する杭はこちらになります。
これです!分かりづらくてすみません!
「何これ…?見たことがない…」
それもそのはず。地中に埋まっているのですからあまり見ることがないのです。
この杭って何?本当に必要なの?
本日は、そんな建築物を建てる際に重要になる「杭」について見ていきましょう。
そして、安定した建物を支えるための杭打ちの重要性と、地盤改良におけるコスト削減策として有効なシステム建築についてもご紹介したいと思います。
そもそも杭とは、何でしょうか・・・
杭とは建物を支える基礎の1つです。先程の写真のとおり、かたちは円形の柱になっているのが多いです。
下の図を見て分かるとおり、
建物を支える基礎は、例外もありますが地盤のかたい支持層の上に造るのが基本です。
そして杭を地中に打ち込むことを杭打ちといいます。
杭打ちをすることで、構造物を地盤の上に安定して建築できるようになり、地震が発生しても倒壊のリスクを減らし、耐久性のある家造りの手助けにもなります。
支持地盤まで杭を打ち込んで、新たに建設される建築物をしっかりと安定した状態に保つ、というのが杭の役目なのです。
前項で杭について少し理解していただいたと思います。
では実際に杭は必要なのでしょうか。
…答えは「必要の場合と不要な場合がある」です。
「え、どっち??????????」
ごめんなさい、そうなんです。各現場によってケースバイケースで、
実際に杭が必要となるか否かは、「地盤の強さ」と「建物の重さ」との関係で決まってきます。
しかし条件に当てはまっていれば、杭が必要ないケースもあるのです。
それでは「地盤の強さ」と「建物の重さ」って何でしょうか。
地盤の強さは地域や場所によって大きく変わります。
埋め立て地や河川に近い地域、山を切り崩して造成した地域などが、表層地盤が建物をしっかりと支えるだけの強さを持たないケースがあります。
「建物の重さ」より、「地盤の強さ」が上回っていれば杭は必要ありません。逆の場合は何かしらの補強が必要になります。
では地盤の強さは何で分かるのでしょうか?
「地盤の強さ」を知るためには、地中にある支持層の深さ、厚み、土質を調査する地盤調査を行います。
地盤調査については後ほど説明しますね。
建物の重さは、計画の規模や構造によって大きく変わります。
ここで様々な構造物の建物の重さを比較していきましょう。
同じ2階でも木造とRC(鉄筋コンクリート)造では、なんと約5倍も重さが違うことが分かります。
実際の設計時はもう少し複雑ですが、概ね上表の程度の重さが、建物の地盤にかかってきます。
このように杭打ちには「地盤の強さ」と「建物の重さ」との関係が非常に重要であり、
「建物の重さ」より、「地盤の強さ」が上回っていれば杭は不要ですし、逆の場合は杭打ちが必要になってきます。
「じゃあ杭は地盤が強い支持層に届くまで打ち続ければいけないんだ!」
そう思われたのではないでしょうか。
いえ、そんなことは決してありません。杭が長くなるにつれ、工期は延び金額は大幅に高くなります。
施主様も施工業者にも時間や手間もかかりお互い良いことなどありません…
そのため、杭は「支持杭」と「摩擦杭」と大きく2つに分けれます。
※固い支持層がなくても支持できますが、杭の周囲は、ある程度の固さが必要になります。
どちらの杭を使用するかは、建てたい建築物(重さ)や場所(地盤)によって本数や長さもちろん金額も変わってきますし、
この点に関しても設計士や施工業者と要相談です。
前項で「地盤の強さ」でも少し取り上げましたが、地盤の強さを知るために「地盤調査」が必要になってきます。
よく耳にする地盤調査… そもそもどうして地盤調査を行わければいけないのでしょうか。
・・・それは「対象の土地が建築物を建てるにふさわしいか調査しなければならないから」です。
万が一、地盤調査をせずに、建設物を建てるのに適していない、軟らかい土地に家を建ててしまった場合、地盤が家の重さに耐えきれず、傾いてしまう可能性があります。
そのため、建築物を建てる際に地盤調査は必要であるという考えが一般的なのです。
地盤の強さを取り上げるうえで、液状化の話も外せません。
液状化とは埋立地でよく起こる現象ですが、砂やシルトなどの均一な地層で構成された地盤が水を含んだ状態で、地震のような揺れを加えると、固体化していた土が液体のようになってしまう現象のことです。
分かりやすく説明しますとこのような感じです。
(参考:東京都HP 建物における液状化対策ポータルサイト)
東京の地盤は液状化するので脆いと勘違いする方も多いですが、江戸時代以降に埋立地に多い話なのです。本来の関東ローム層は粒子間の結束が強く、耐久性もある非常に強固な地層なのです。
しかし、掘削によって粒子間の結束がほぐれてしまい、脆弱なものになってしまいます。さらに1度崩してしまうと層は元の強さにはならないため、開発した土地の層は脆く地震に強いとは言いづらいです。
さて、地盤の強さや液状化のリスクを理解した上で、建築コストの削減方法についてご紹介したいと思います。それが「システム建築」です。
システム建築とは、部材をあらかじめ工場で製造し、現場で組み立てる方式の建築手法です。
この方式の大きなメリットの一つが部材の軽量化です。部材が軽量化されていることで、上物(倉庫や工場などの施設)が軽くなり、以下のような利点が生まれます。
まず、①地盤改良の費用をある程度抑えることができます。
建物が軽くなることで、地盤にかかる負担が減り、地盤改良の必要性が低くなります。
特に、地盤が弱い地域では、この効果が顕著です。従来の重い建築物では、地盤を強固にするために高額な杭打ち工事が必要ですが、システム建築ではこの費用をある程度抑えることが可能です。
次に、②地盤改良に必要とされる費用を捻出する分、低コストであるシステム建築を採用することで、トータルの予算を抑えることができる点です。
システム建築は、工場での生産効率や現場での組み立て時間の短縮を実現していることで全体の建設コストが低く抑えられます。
これにより、杭打ち工事にかかる費用を削減するだけでなく、さらにコストパフォーマンスの良い建築が実現します。
さらに、システム建築は工期が短く、品質が安定しているため、経済的な利点だけでなく、迅速なプロジェクト完了と高品質な仕上がりも期待できます。
いかがでしたか?システム建築の採用は、地盤改良の費用を抑えつつ、全体の建設コストを削減するための有効な手段です。
もし新しい倉庫や工場の建設を考えているのであれば、ぜひシステム建築のメリットを検討してみてください。
いかがでしたか?
今回は建築物をしっかりと安定した状態に保つための杭と地盤についてお話ししました。
それぞれの建てたい建築物や地盤によって、杭が必要か不要かが決まります。また、杭が必要な場合は「種類」「本数」「長さ」が変わるため、設計士や施工業者と相談することをおすすめします。
さらに、地盤改良や杭打ちにかかる費用を抑えるための有効な手段として「システム建築」をご紹介しました。
システム建築の軽量な部材を使うことで、地盤改良の費用を抑えながら、全体の建設コストを低減できます。工期の短縮や品質の安定性といった利点もあり、経済的かつ効率的な建築が可能です。
ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。それでは、次回もお楽しみに!
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