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無柱空間の「システム建築」

スイコウシステム建築

コラム

Column

倉庫・工場のアスベスト対策と建替時の「システム建築」という選択

 

みなさん、アスベストってご存じですか?

アスベストとは主に古い倉庫や工場で使われている建築物の耐火材料のことです。それらの建物の改修・解体や建替えにおけるアスベスト処理において、予想外の費用が出てしまったケースもよく耳にします。

さらに2022年4月1日以降は「石綿障害予防規則等の一部改正」に基づき、100万円以上の改修工事のアスベスト届け出が義務となるなど、年々規制が厳しくなっています。

そこで今回は、最低限抑えておくべきアスベストの基礎知識と、アスベストを使用した建物の解体、増築、新築について、そして新しい工法システム建築によるコストダウンについて取り上げていきたいと思います。

 

 

1.石綿(アスベスト)とは

邪紋石や角閃石に含まれる鉱物の一種で天然に産出する発がん性物質です。

その大半は1955年(昭和30年)ごろからカナダ・南アフリカなど海外から多く輸入され、日本では1970年以降、耐火被覆、吸音、耐熱用の吹付材として多く利用されています。

このアスベストは、もともと安価で万能な建築工業材料として非常に重宝され、1974年の35万トンを最高に年間約30万トン前後で推移し、総輸入量は約一千万トンになっています。

 

 

2.人体への影響

ではなぜ、アスベストが問題となっているのでしょうか?人体の影響とともに見ていきましょう。

石綿(アスベスト)は非常に細かい繊維状のものが束状になっており、これを切ったり、削ったりするとほぐれ、束が細くなり肉眼では見えない大きさで空気中を浮遊します。

 

これを吸い込むと鼻腔や口腔→喉頭→気管→気管支→肺胞到達します。

 

また、肺胞まで到達する大きさは繊維の直径(幅)が3㎛未満で、繊維の長さと直径の比が3:1以上と言われています。小さいサイズで0.01~0.1㎛(マイクロメートル)になるのですが、これは現在、蔓延しているコロナウイルス(約0.1㎛)とほぼ同じ大きさです。

厄介なことに、これらのサイズのアスベストは肺胞に到達したあと沈着します。

これらのサイズのアスベストが一度肺胞に到達→沈着してしまったら除くことが難しく、次第にこれが原因で肺機能障害を起こす原因になります。

 

肺機能障害で多い症状を下記に挙げます。

 

・石綿肺(肺が繊維化する病気の一種)

 最初のばく露から10年以上経っていることが多い。

 

・悪性中皮腫(胸膜・腹膜・心膜にできる悪性の腫瘍)

 潜伏期間は約40年

 

・肺がん

 石綿と喫煙の相乗作用で著しく肺がんの発症のリスクが高いとされています。

 肺がん死亡率は喫煙者をとすると、非喫煙者、石綿ばく露労働者で5倍

 喫煙者かつ石綿ばく露労働者で50倍と言われています。

 

 

3.どのような建築物に多いのか

アスベストの危険性についてはお分かりいただけ高と思いますが、ここで気になるのは「自社の工場(倉庫)にアスベストは使われているのか?」ということではないでしょうか

 

アスベストはいたるところで使われており、その用途は3000種類とまで言われています。

大きくは工業製品と建材商品に分けられ、その8割が建材商品になります。

この建材商品は1955年ごろから使われはじめ、ビルや倉庫(工場)などの鉄骨建築物などにも多く使われ、昔は広く利用されていた建材ですが、徐々に健康被害が明らかになり規制が強まってきました。

 

1975年 

⇒ アスベストの含有量が5%を超えるものの吹き付け作業の禁止

1995年 ⇒ 含有量が1%を超えるものの吹き付け作業の禁止
2004年 

⇒ 含有量が全体の重量の1%を満たさないクリソタイル(白石綿)以外の製造、輸入、提供、譲渡、使用の禁止

2006年 

アスベストの含有量が重量の0.1%を超えるものの製造、輸入、提供、譲渡、使用が禁止

 

 

 

□アスベストが利用されている可能性が高い箇所について

アスベストは安価で耐火性、断熱性、防音性、絶縁性など多様な機能を有しており、倉庫(工場)において、主に耐火被覆材として使用されています。

 

屋根材・・・波型スレート材がセメントと混ぜる形でアスベストが使用

内装材・・・ケイ酸カルシウム板やパーライト板などに含有

外装材・・・アスベストが含まれている塗料材が樹脂によって固められているケースがある

断熱材・・・配管やダクトに巻かれる断熱材には、保温性に優れるアスベストが使用されているケースが多い

 

これらはそのままでは飛散しませんが、解体時に飛散してしまう危険性があります。

ですので、2012年にすべての分野で製造禁止になるまでの建築物は、アスベストが含まれている可能性があるため、建て替えや解体時は注意が必要です。

 

 

4.どのように対処すればいいのか

まず、ご自身が所有する建物で、アスベストが使用されているか、竣工年数などを参考に確認しましょう

「図面などで使用されている建材の商品名を確認する」また、国土交通省・経済産業省や日本石綿協会などでは、アスベスト含有建材の商品名が公表されていますので、それらと照らし合わせることで、アスベストの使用が確認できます。

石綿(アスベスト)含有建材データベース 国土交通省HP https://asbestos-database.jp/

 

実際にアスベストが使用されているとわかった場合、どのような対処法があるのかをご紹介します。

大気汚染防止法では、建築物等を解体・改造・補修する作業を行う建設工事を行う際、当該工事の受注者が石綿の使用状況の調査を行い、発注者に調査の結果を説明しなければならず、また、調査の結果、石綿の使用が確認された場合、工事の発注者は工事の届け出を行わなければなりません。

建築基準法では建築物及び工作物の増改築時に石綿があった場合は除去等を義務づけていますが、増改築を行う部分の床面積が増改築前の床面積の1/2を超えない場合、増改築を行う部分以外の部分について封じ込め囲い込みの措置を行うことが認められています。 

 

  • アスベストの封じ込め工法

吹き付けられたアスベストを薬品で覆い固定化することによって、粉じんの飛散を防ぐ工法です。アスベストは、「飛散し、人が吸い込む」ことで人体に影響を及ぼすものですので、固定化してアスベストの飛散を防ぐという考えです。

 

  • アスベストの囲い込み工法

振動や人間の接触等、何らかの刺激によってアスベストを飛散することを防ぐため、板状の材料で完全に覆い密閉する工法です。構造物の天井や梁を覆うのには適しており、露出しているアスベストを他の建材で塞ぎ、飛散を防止します。

 

 

しかし、上記の対処が難しい場合、又は増改築後の床面積が上記数値を超える場合は建て替えのため以下の対応となります。

 

  • アスベストの除去

専用の薬液などにより湿潤化し粉塵などなるべく飛散しないようアスベストを除去します。

建物の解体前にも、養生や集じん・排気装置の点検や確認が必要です。

除去作業の場合には、作業中にアスベストが飛散してしまわないように装置排気口からの集じん漏洩がない事の確認、建物をシートで養生するなど、細心の注意を払う必要があります。

 

しかしながら、アスベストを使用した建築物の解体は、専門の資格をもつ業者による事前調査・分析が必要になり、廃棄物処理まで含む正確な見積をとる必要があることに加え、通常の解体費用よりも金額が高くなります。

解体費が高額に掛かることは、その後に新しく建てる倉庫・建物の建設予算にも大きく影響する可能性も出てきますので、注意が必要です。

5.さいごに

今回は、アスベストと、アスベストを使用した建物の解体にまつわる情報をお伝えしました。

アスベストが適切に処理されていなければ、知らないうちにそこで働く従業員そして、近隣住民にも深刻な影響を与えてしまう可能性があるため、建て替えを含み、早めの対策を講じることが必要になってくるかと思います。

 

そして目次4でもお伝えしたように、アスベストを含む倉庫・建物の解体時に発生する余分な費用は避けられません。

しかし、その後に建てる上物の工法に「システム建築」という選択肢を加えてみることで、予算を抑えながらもしっかりと安全性・耐久性を確保した倉庫・建物を手に入れることができます。

既存倉庫の建て替えの際はぜひ、コストパフォーマンスに優れた「システム建築」をご活用ください。

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